“NO NATO, NO WAR”

 2012年5月20日、約50人の帰還兵が、シカゴで行われた NATO 首脳会合に抗議するデモに参加した。アフガン・フォー・ピースのメンバーとともにデモを先導した帰還兵たちは、行進を終えると、一人ずつ前に立ち、短いスピーチとともに、軍から授与されたメダルを、首脳会合に出席している NATO 将官たちへ向けて投げ返した。

“NO NATO, NO WAR” NATO に抗議し、メダルを返還
20日の NATO 抗議行動の模様(一部抜粋)

 20日の日曜日には、グランド・パークから NATO 首脳会議会場近くまでのデモ行進が行われました。一週間にわたる一連の抗議行動のなかで最大のものでした。デモ行進の先頭に立ったのは、イラク-アフガニスタン戦争の帰還兵と、アフガンズ・フォー・ピース(平和を求めるアフガン人たち)のメンバーです。
 行進中、帰還兵たちは、アッシュのコールで、「NO NATO, NO WAR!」「We don’t work for you no more! もうあなたたち NATO 指揮官のためには働かない!」「We don’t kill for you no more! もうあなたたちのために人を殺したりはしない!」などのシュプレヒコールを叫びました。
 行進の終着地点では、「反戦イラク帰還兵の会」(IVAW)が、自分たちが授与された参戦顕彰メダルを”返上する”セレモニーを行い、40名以上の帰還兵が、首脳会議が開かれている会場の方角へメダルを投げました。これと同様の抗議行動は、1971年にも、ベトナム戦争の帰還兵たちによって首都ワシントンで行われました。
 セレモニーでは、一人一人の帰還兵が、路上に設けられたステージ上で、氏名、従軍の時期・所属、メダルを返すにあたっての思いを述べました。

「アッシュ・ウールソンです。軍曹でした。イラクにいたのは2003年です。そこで見たことは本当にひどかった。完全に打ちのめされました。あの経験をした自分自身や他の人たちが再び同じ苦しみを味わわないように、そして、僕らの子どもたちがこんな苦しみを味わわないように、そう願ってメダルを返します。」

「アーロン・ヒューズです。2000年から2006年までイリノイ州兵でした。(1つ目の)このメダルは、去年亡くなったアンソニー・ワグナーのために投げます。(もう一つの)このメダルは、同僚から性暴力を受けている、女性兵士たちのために投げます。軍の女性たちの実に3分の1がそのような被害を受けています。私たちアメリカ人は、我々の姉妹たち、すなわちアフガニスタンの女性たちを解放するためだ、と言ってアフガニスタンで戦争を始めましたが、実は自国の女性たちを正しく遇することすらできないでいるのです。謝罪の思いを込めてメダルを投げます。みなさんに謝ります。本当に申し訳なく思っています。」

原文:
Democracy Now!, 2012, “”No NATO, No War”: U.S. Veterans of Iraq and Afghanistan Return War Medals at NATO Summit,” Democracy Now!, posted on 21 May 2012, available at http://www.democracynow.org/2012/5/21/no_nato_no_war_us_veterans.
翻訳:わだともこ、編集:こぶち | 2012年6月23日

【追記】
 後日、Democracy Now! は、IVAW 反 NATO 行動の特集を放送した。

Democracy Now! | 28 May 2012
“Memorial Day Special: U.S. Veterans of Iraq and Afghanistan Return War Medals at NATO Summit”
http://www.democracynow.org/2012/5/28/memorial_day_special_us_veterans_of