Study War No More – Ash Speaking Tour 2017

イラク帰還米兵スピーキングツアー
Study War No More – Ash Speaking Tour 2017

来日スピーカー:
アッシュ・キリエ・ウールソン(profile

スケジュール


大学進学のために州兵に入隊することを決めたとき、アッシュは、州兵は海外へ派遣されないことを確認していました。軍のリクルーターは、「ベトナム戦争のときも、州兵は派遣されなかった」「(隣接する)カナダが侵攻してでもこない限り、(ウィスコンシン)州兵が軍事行動に駆り出されることはない」と断言していたそうです。

大学在学中に突然の招集があり、行き先も告げられないまま飛行機に乗せられました。降り立ったクウェートで訓練を受け、イラクへと従軍しました。イラクでは、国軍部隊と行動を共にすることもありました。

イラク戦争に対する考え方がどうであれ、軍隊に属する以上、任務は任務です。州兵は地域別に組織されるので、同じ部隊にいるのは、互いの家族のことも良く知る幼馴染たちです。脳裏をかすめる矛盾を見ないようにしながら、生き抜くために仕事をこなす日々が続いたそうです。イラクでのこと、軍隊のことを、アッシュは「人間の非人間化」だと言います。

帰還したアッシュは、自身が築いてきたコミュニティーに元通りに受け入れられることはありませんでした。PTSD(心的外傷後ストレス障害)でした。

家族や友人、同じ経験をしてきたベトナム帰還兵等周囲の助けを得て、徐々に自分自身を取り戻し始めたアッシュは、自分の体験を話し始めました。大学院へ進み、アートを通じて戦争を問い続けました。こどもができたことで、戦争と家族についても考え始めました。

2008年のピース・ウォークをきっかけに来日したアッシュは、「日本の人々と重ねた対話が自分を変えた」と言います。イラク戦争のみならず、全ての戦争に反対するようになったアッシュは、それ以降、日本での証言活動を続けています。

2017年ツアーでは、スピーキングツアーを中心に、アート・エキシビジョンもできればと考えています。

戦争とは何なのか。兵士になるとは、どういうことなのか――。ひとりの元兵士が体験したこと、考えたことを聴きながら、話を始めることができればと願います。

多くの方々の参加をお待ちしております。

●参加企画募集中●
このスピーキングツアーは、様々な方々が、各地でイベントを主催してくださることで成り立っています。多様多彩なイベントをつくれればと思いますので、是非ご参加ください。イベント企画以外での参加も大歓迎です。



Profile

Ash Kyrie Woolson
アッシュ・キリエ・ウールソン
Ash Kyrie Woolson アーティスト/イラク帰還兵

1981年生まれ。3人兄弟の末っ子として、北カリフォルニアやオレゴン、ウィスコンシンで育つ。18歳になった2カ月後、学費を得るため、州兵(the Army National Guard)に入隊。2003年、大学へ3年通ったところで、イラクのナーシリーヤ近郊へ、陸軍とともに1年間派兵された。

ウィスコンシン大学マディソン校でファインアートを学んでいた2005年に、娘が生まれた。西海岸へ越したアッシュは、幼いこどもと、戦争について話し始めた。戦争についてこどもと重ねた会話は、アッシュの制作活動に大きな影響を与えてきた。「戦争は、そこに住む家族にどのような影響を与えるのか?」「戦争が帰還兵家族に与える影響は?」

2008年、戦争について話しながら、広島から東京までを歩くピースウォークに招かれて来日。1,000マイルを歩ききった。その後も日本を訪れ、講演活動を続けている。今までに話をしてきたのは5万人を超える。そのうちの何度かは、妻やこどもも一緒に来日した。

2011年、オハイオ州立大学修士課程(ファインアート)を修了。副専攻に、比較研究を修めた。愛らしい息子も誕生した。

現在は、ウィスコンシン州の田舎に住み、3人目のこどもを授かる。アート制作を行うアトリエと陶芸窯もつくった。アッシュの言葉と作品は、世界中に拡がっていっている。

アッシュからのメッセージ:

「日本は、この半世紀、非軍事外交の成功例として発展し、世界を牽引してきました。常備軍を持たないこの期間は、日本と近隣の中国や韓国、フィリピンとの良好な関係構築に役立ってきました。どのような形であれ、軍事化は、第二次世界大戦以降に築かれてきた信頼を損ねるものです。
日本に来るようになってから、日本の人々によって私は変わりました。イラク戦争に反対する帰還兵から、全ての戦争に反対する帰還兵となったのです。もはや、イラク戦争のみに反対することはない。イラク戦争とは、「戦争」という名の病気の一症状にすぎないのです。」

 

 



Study War No More 2017 Diary